2CD名匠ジョージ・セル指揮による近代管弦楽曲集(バルトーク、プロコフィエフ他)

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村上春樹が小説「1Q89」で取り上げたことで有名になったヤナーチェクのシンフォニエッタ、そこでも触れられたのが、アメリカを代表していたジョージ・セル指揮のクリーヴランド管弦楽団。

ビシッと格調の高い音楽を決めて、いかにも戦後らしいスマートさで勝負してきたコンビ。古典派の精緻な書法から含蓄ある音色を引き出し、近代の大曲を引き締まった表現で一気に聴かせました。

セルはハンガリー生まれの神童として知られ、3歳からウィーン音楽院でを学んだと言われ、10歳でピアニストとして、16歳で指揮者としてもデビューし、作曲も手がけて、R・シュトラウスを補佐したとされます。

アメリカに渡るや人気を博し、クリーヴランド管弦楽団の全権を手にして、故郷の暖かい響きと、アメリカならではの名技性を併せ持つ理想のオーケストラを作り上げました。

1897年の生まれ、つまりオーストリア＝ハンガリー帝国は彼がハイティーンになるまで健在で、モラヴィアの土俗性が際だつヤナーチェクすら、同郷と考えていたのではないでしょうか。

ヤナーチェクのシンフォニエッタは、強烈なトランペット群が響き渡り、演奏会でも強烈なインパクトを放つ名作ですが、チェコスロバキアが独立した記念の作品とされています。ただし、作曲された背景には美しい人妻の存在もあり、不思議で幻想的な魅力を併せ持ちます。

ナチスを逃れアメリカに亡命したものの白血病を発症し、悲劇的な晩年を過ごしたハンガリーの作曲家、バルトークが書き上げた大作「管弦楽のための協奏曲」を併録。
1965年の録音。

CD二枚目は、大阪万博に現れ圧倒的な演奏を披露した、このコンビの最後期の録音。

コダーイ：組曲「ハーリ・ヤーノシュ」と、プロコフィエフ：組曲「キージェ中尉」作品60 は、いずれも荒唐無稽な物語をもとにした、華やかな二十世紀の管弦楽曲。

前者はバルトークの盟友の作品、主人公がほら吹きで、ナポレオンをやっつけ、王妃からは愛を告白される。ハンガリーの民族楽器ツィンバロンも登場。後者は、主人公がそもそも存在しないという、奇想天外な内容。

その他、ロシアを代表する名品も収録。

ボロディン：歌劇「イーゴリ公」よりダッタン人の踊り
リムスキー-コルサコフ：スペイン奇想曲作品34
リャードフ：魔法にかけられた湖作品62

少し背部色あせありますが、盤面良好です。